第2回 暫定規制値とは(食料品編)

前回、「暫定基準値」は3月17日に決められた物だということを書きました。では、この基準値はどのような根拠から作成されたのでしょうか?

正確なところは分からないのですが、どうも「年間5ミリシーベルト」まで被爆しても、大丈夫だということで計算していいるようです。ただ、それにも大嘘があって、セシウムで5ミリ、ウランで5ミリというように、それぞれの放射線核種にごとに5ミリとしているので、合計すると5ミリを遙かに超えてしまいます。その上、空間照射による外部被爆のことは全く考慮されたいません。

そもそも、1年5ミリシーベルト被爆して大丈夫なのでしょうか。実はこれ、法律違反の数字です。「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」のなかで、線量限度として「1年間に1ミリシーベルト」とされています。これが、公衆があびても安全な線量と規定されています。

また、いろんな意味で悪名高いICRPですが、1990年に一般公衆の被爆限度を1年1ミリシーベルトと勧告しています。

ところが、福島第一原発が暴走していた3月17日、ひそかに被爆限度が大きく引き上げられました。その後、次々に食品の中からヨウ素やセシウムのような放射性元素が見つかりましたが、そのほとんどは「基準値内なので、問題なし」と政府から発表され、それをマスコミ各社が何の疑問もなく、垂れ流してました。そして、放射能が入っている可能性のある食品を買わないことを「風評被害」として非難しました。でも、本当はどっちが風評被害だったのでしょうか? 安全デマの方が明らかに風評被害です。

結果、驚くべき緩い基準値となってしまいました。その一覧が下記です。クリックすると拡大します。(Save Childさんのグラフがよくできていたので使わせてもらいました。ありがとうございます。http://savechild.net/archives/1287.html

こういった基準値を語るうえで、よく出てくる名前が「ウクライナ」です。みなさんもご存知のようにウクライナは私たちと同じように「被爆国」です。チェルノブイリ事故による被曝量を,どのような環境のもとでも1年1ミリシーベルト以下に抑えるために、厳しい食品基準値を設けました。これは、通称「ウクライナ基準」といわれ、一部の日本の学校給食の基準値などに採用されています。

そのような厳しい規制を行っているウクライナですが、チェルノブイリ事故から25年経った今も、子どもたちを中心に多くの人が健康被害を受けています。下記の動画を是非見てください。

私たちは彼らよりも汚染された物を食べているかもしれません。そして、ウクライナでは居住禁止区域になったような汚染が深刻なところでも、日本では多くの人が住んでいます。このままだと、私たちにどのような未来が待っているのでしょうか?

でも、まだ結果は出ていません。今からでも未来は変えられます。もうすでに、ある程度被爆したかもしれませんが、これからの被爆量を減らせば大丈夫です。私たちは過去の事例を検証して、効果的な対策を立てるべきではないでしょうか。